家を新築するというのに、トイレが汲み取り式になってしまった経過は、「敢えてクラシック・トイレにする」で書いた通り。
まことに原始的なトイレだから、ハエが発生する。しかしウジを殺す薬剤は、たいていが強い酸性の薬剤である。ところがトイレの便槽を含む素材は塩ビ系(?)で、、強酸の殺蛆剤は使えない、と言われた。
困った!!!どうしたものか???・・・・・考えた。
と、むかし聞いた話を思い出した。馬酔木のことを別名「ウジ殺し」と呼んで便槽に入れた、というのだっだ。
幸い庭に大きな馬酔木があった。早速剪定をかねて枝を切り落し、葉だけをトイレに入れた。本当にウジが死んだ!今は葉をグツグツと煮て、エキスだけを使ったり、エキスと葉の両方入れたり・・・・・・。毒性はかなり強力らしい。
だがその毒性にもかかわらず、速やかな醗酵を促すために入れている微生物資材(嫌気性の菌)には全く影響がないらしく、醗酵が阻害された様子がない。毒物に対する感受性は、普通の生物と菌類のような原始的生物では、大きく異なっているのだろうか?
かつてヤギを飼っていた時期があった。何かの拍子に鎖が外れて、ヤギは屋敷内を自由に歩き回わり、気がついた時は、すでに馬酔木を食べてしまったらしかった。食べた量はわからなかったが・・・・・。
ヤギを飼う前に、馬酔木と夾竹桃には気をつけるよう、しっかりと言われていた。屋敷内の馬酔木には、特に気をつけるよう言われた。だからその危険性は十分承知していたから、いつもいつも気になっていた。
すぐに、すざまじい嘔吐が始まった。泡を吹くように吐き続け苦しむ。獣医を呼んだが、なす術がないと言う。食べた量が少ないよう、祈るしかなかった。
幸いにもヤギは生き延びた。これによって馬酔木の毒性をまざまざと目撃した感じだった。
アシビに「馬酔木」の字が当てられる理由が実によく理解できた。あの巨大な馬さえ、馬酔木の毒で、酔ったようにフラフラになるのだ!
今年も1キロほどの馬酔木の葉を煎じてトイレにいれた。ハエの発生をピシャリと完璧にはコントロールできないが、それでも十分に効果がある。もっと量を増やせば、完璧にコントロールできる??
なにはともあれ、もともとは美しい花を愛でるための、庭木としての馬酔木だが、我がトイレにとっては、全く別な意味で、大変にありがたい植物である。