夕方から庭の草刈をした。もちろん草刈機を使って。
庭の南縁はちょっと小高い土手で、土手は芝に覆われている。
ボサボサに伸びたその芝も、きれいさっぱりと刈ってやった。
予定の作業を終えて、ちょっと一服するため土手に上ったら、床屋に行った後みたいにすっきりで、気持ちいい!それに地下足袋の下のフカフカの芝生の感触もまた、気持ちいい!
思わず寝転びたくなった。
芝生のうえにゴロンと横になると、見えるものは夕暮れの空と山の黒いシルエットだけ。あいにく空は灰色の厚い雨雲に覆われていたが。
刈られたばかりの青草が放ついい匂いの中で、冷たく柔らかな芝生の褥に寝転ぶと、そこはもう非日常の世界。
ウ~ン気持ちいい!
この小さな異次元のタイム・トリップの相棒に、犬のマルを呼んだ。
マルはすっかり興奮してしまう。チビ犬のマルにとって、いつもなら遥かの高みにある私の顔が、自分の目の下にあるのだから。
マルの顔をしげしげと見上げたら、照れ屋の彼女は目をそらし、うれしい!うれしい!の感情表現として、私の顔や手をペロペロと舐めてくれた。
しばらくマルと一緒に、芝生に寝転んだまま、夕暮れのひと時を過ごした。心身ともに開放されていく。
思いがけずに発見した、異次元へのタイム・トリップ。